【注意】bias(偏り、ひいき、傾き)【思考】

 皆様、こんにちは。
 埼玉県北本市の就労移行支援事業所「てんとうむし北本」に通う利用者のTです。

 前回、「バーナム効果」について書かせて頂いた者です。
 心理療法に興味があり、心理学的アプローチから陥りやすい考え方の傾向などについて学んでいます。

 先週の「てんとうむし通信」で、バーナム効果は「確証バイアス」が働くことにより「自分に都合の良い部分」だけを無意識に取り出してしまいがち、ということを書かせて頂きましたが、今回はその「確証バイアス」について触れさせてください。

 「確証バイアス」とは、認知心理学や社会心理学における用語のことです。

 「認知バイアス」の一つとされています。
 また、その結果として、稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも含まれます。

 となると、「認知バイアス」とは何ぞやという話になるかと思いますが、「認知バイアス」とは、物事の判断が、直感やこれまでの経験に基づく先入観によって非合理的になる心理現象のことです。
 認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題でもあるとされています。
 認知バイアスは、事例証拠や法的証拠の信頼性を大きく歪めてしまうことがあります。
(これも簡単に言うと、先入観、思い込み、という感じです)

※.「先入観」は「先に知った内容で考え方が固定されてしまい、他の考え方ができなくなってしまうこと」、「思い込み」は「ある考え方を心に決めて、そのように信じること」です。

 つまり、人間の思考のパターンの一つに、思い込みや先入観で、都合の悪い情報を見なかったことにする、或いは本当に触れもせず、都合の良い情報だけを信じたい、信じてしまう、という傾向があり、それを「確証バイアス」と呼ぶのです。

 学校や職場、人間関係や進学や就職といった人生での大きな選択など、日常の至る所で、この確証バイアスは働いていると考えられます。

 前回のバーナム効果ともリンクする部分がありますが、血液型占いの確証バイアスの事例を見ていきましょう。

 血液型占いには、科学的な根拠は無いとされていますが、それでも多くの人が血液型占いを「当たっている」と思ってしまうのは、この確証バイアスによるものです。
(ちなみに血液型占いを全く認識していない地域/国家もあります)

 例えば、
 血液型占いで「A型の人は几帳面である」という結果を見た後、
 「A型の◎◎さんは字を丁寧に書く」
 「××さんもA型で時間に正確だ」
 と「A型の人が几帳面であるエピソード」ばかりが記憶に残り、「やっぱりA型は几帳面なんだ」という思い込みが強くなりがちです。

 続いて、ビジネスシーンでの確証バイアスの例というものがあったので見ていきましょう。

  ・新しい機材/技術/サービスを導入する際に、ある企業の商品・サービスの良い面にしか目がいかない
  ・採用面接の際に、自分が良いと判断し気に入った応募者の悪い点に目がいかない
  ・根拠もなく「大企業と取引が出来れば安泰」と考えてしまう
  ・利益が出ると妄信し、投資に対するリスクから目をそむけてしまう

 このように、判断を曇らせるもの、それが確証バイアスです。

 物事を始める際に判断や選択に迷うのは誰しもあること、当然だと思います。

 その迷う時間が無駄として、検討もそこそこにとりあえず突っ込んでしまう!
 そういう生き方もあっても良いと思いますし、考え過ぎて何も踏み出せなくなる場合には、むしろその最初の一歩を踏み出す気持ちこそが重要だという場合もあるかもしれません。
 しかし、もう少しだけ真面目に情報収集をしていれば・・・、不都合に目を向けていれば・・・、望まぬ結果を阻止出来ていた、という場面も存在するのは確かです。
(例としては、異性関係が派手なパートナーとそこは目をつむり、結婚という形式を優先し、とりあえず結婚したが、結局不倫が原因で離婚した、など)

 「欲しい」と思った物の悪い評判に関心がない、
 「欲しい」が予算的に少し厳しいのに何とかなるだろう、
 「好きな人」の悪い面に目がいかない、
 など、必ずしも悪いことでも無いのですが、「確証バイアス」、その思考パターンの存在を知り、自分が今その傾向に陥っていないかどうか、一度立ち止まることも時には大切なのではないかと思う次第です。

 これは、文字通り人生のあらゆる場面で起こり得ることです。
 勢いで物事を決めてはいけない、という話ではないのですが、やはりケースバイケースではないでしょうか。

 皆様がこの先の人生において、確証バイアスを意識されることで、思い込みや情報の取捨選択で失敗をされることが少しでも減ることがあれば、とっても嬉しいです。
(失敗しない人生などないかもとは思っていますが、失敗の数はやはり少ない方が良いのかなとは思っています)

 それでは、今回はこの辺で。
 皆様どうか良き一日をお過ごしください。