三度目の「てんとうむし」ブログ

てんとうむし北本に、お世話になっている利用者です。
先日の不思議な、15日間のことを書かせていただきます。
長文になりそうです。覚悟してください。

数年前から、耳たぶに「しこり」がありました。痛みもなく、数年間そのままに。
それが先月から痛みを感じ、腫れ上がっていました。
病院で診察を受けたところ、アテローム(粉瘤)でした。
簡単に言えば、耳に出来た良性の、しこりです。
「炎症が治まり次第、オペで切除です」そう告げられました。
「またかよ」そう思いましたが「切除してしまえばいい」ただそれだけです。

10月3日、オペのために病院へ。
オペ前の問診で、いくつかの質問を受けました。
その一つに、「嘔吐は無いですよね?」
実は朝、吐きました。
それでも、「はい、吐いていません」そう答えました。
オペの延期が面倒で、嘘を付きました。

前日から違和感、夜には強い腹痛を感じていました。
その痛みに不安を感じ、オペ後の外科の診察を依頼しました。
「どうかされました?」そう聞かれ、オペの延期を避けるために、
軽く笑いながら、「少しお腹に違和感があって」そう答えました。

オペが始まります。
昨年も、この病院で胃癌のオペを受けました。
その時は、医師や助手の方から自己紹介を受けました。
10名くらいだったと思います。一気に自己紹介されても、名前も顔も全く覚えていません。
台に横になり、体を固定され「全身麻酔をします」
その後、サッとパンツを脱がされ、それが最後の記憶です。

今回は、耳に麻酔をして、メスや、電子メスでカチカチされ、チクチクとした痛みを感じながら縫って終わりです。小さな紫色の毬藻のような物体を見せられました。

それから外科の診察です。
長い待ち時間で、痛みは増すばかりでした。

外科では、昨日からの腹痛と、朝の嘔吐を伝え、まずはレントゲンです。
検査が終わって、着替えた時に衣類が耳たぶに接触したのでしょう。
耳たぶからの大量出血でした。
耳鼻科へ行くと「聞きましたよ。昨日、吐いたそうですね。お腹も痛かったそうですね」お叱りを受けました。
でも計画通りにオペは終わり、素直に謝りました。

検査結果は、腸内にガスと便。
癌のオペをしたことから、腸閉塞の疑いがあると、エコー検査。
点滴から造影剤を入れて、体はポカポカに。
これも何度目でしょうか?慣れたものです。

検査結果は、膵炎ではないかと。
オペや、診察、検査を受けている間も、背中、左右の脇腹など、
いろいろなところに激痛を感じました。

その後は、点滴をされ、ベッドに横になっていると、一日掛かりの診察と検査。
それと長い待ち時間に疲れ、眠りました。

目が覚めると、車椅子に乗って押されていました。
「どこに行くのですか?」そう尋ねると「ホテルです」
「お客様は、一週間のご宿泊プランですね。ごゆっくりお過ごしください」
これからが不思議な15日間の始まりです。

案内されたのは間違いなく病棟です。
「ここは病院ですよね。たしか昨年の胃癌の時もこの病棟でした」
「いいえ、ホテルのお部屋です」
ここはホテルみたいです。
「そこがナースステーションですよね?」
「違います。従業員の控え場所です」
「こちらの御部屋へどうぞ」
「ここは病室ですよね?」
「いいえ、お部屋です」
病院ではないようです。

病室ではありません。その部屋に入ると、二人の入院衣を来た患者さんがいました。
「患者さんですよね?」
「いいえお客様です、こちらはホテルですよ。」
ホテルスタッフに「それ看護衣ですよね」
そう尋ねると「いいえ、こちらのホテルのユニフォームです」
やはりホテルのようです。

「お客様。お腹が痛いようですね。ベッドに横になってください」
名前とバーコードがプリントされたテープを腕に巻かれ「外出は禁止です」
そして、ホテルのスタッフが点滴のようなものを用意しました。二つのビニールパックが二つです。
私は、こんなホテルがあることなど知りませんでした。

「チクっとしますよ」そう言いながらホテルのスタッフが、私の腕に針を刺し、驚きました。
「まさかホテルで」
「点滴ですか?」
「いいえ、食事です。お客様のご希望で、一週間は、この食事です。水も飲まないでくださいね」
私が選んだプランのようです.
「ここは病院ですよね?」
「いいえ、ホテルです」
「私、いつ予約したのですか?」
「一時間ほど前です」
私が予約したようです。

点滴をして、入院衣を着て、辛そうに廊下を歩く人に「ここは病院ですよね」そう尋ねると「ここはホテルですよ」そう答えました。

点滴のような食事から、少し経つと、痛みは緩和されました。
点滴のようなもの液体は何だったのでしょう?
一日掛かりの、オペ、診察、検査、痛みに疲れた私は、すぐに眠ってしまったようです。

暗闇の中、ホテルのスタッフが「採血しますね」
「ここは病院ですよね?」
「いいえ、ホテルです」
採血が終わり時計を見ると、朝五時半。なぜホテルで採血をするのか?
訳が分かりません。

目が覚めると、大きな窓から朝日が光々と照らし気持ちよかったです。
昨日の、お腹の痛みはやわらぎました。
記憶にはないのですが、このホテルを予約してよかったと思いました。
「体温と血圧を測りますね」と、ホテルのスタッフ。
「ここは病院ですよね?」
「いいえ、ホテルです」
やはりホテルのようです。
「ガスはでましたか?」「便は出ましたか?」と質問されました。
それでも、ここはホテル。

お腹が空いて「食事はまだですか?」そう聞くと「食事していますよ」と、点滴のようなものを指差して、ホテルのスタッフは、いなくなってしまいました。
隣の宿泊客は「体調が悪くて食べられません」それを聞いて「私が食べたい」そう思いました。

その後、医師のような白衣を着た人が現れ「お客様、まだ、お腹が痛いようですね。二週間の宿泊に変更しますね。宿泊料金は、それほど変わりません」
訳が分からない。
でも居心地は悪くなく、「では、お任せします」
白衣を着た人は、このホテルの支配人でした。

ノンビリとしたホテル生活の三日目の夜のことでした。
トイレから部屋に戻ると、てんとうむし北本の施設長、戸上さんがパソコンを持って現れました。
今の、てんとうむし北本のことなど、お話しをメインに。
なぜ、ここにいることが分かったのでしょうか?
試験対策の環境が整いましたが。
ノンビリ過ごすつもりでしたが、そんな場合ではありません。
「早く結果を出さなければ」そんな大きなプレッシャーです。
この対応の早さ。
さすが、てんとうむし北本です。

三日目にホテルのスタッフから「今日から水を飲んでくださいね。明日から料理を食べていただきますので」
「一週間後からでしたよね?」
「支配人の指示で、特別にプランを変更させていただきました。ごゆっくりお過ごしください」
やはりホテルです。

四日目に水を飲みました。
三日間、食事を摂っていない体は受け付けません。
一日で、500mlの水さえも飲み切れませんでした。
体重は3キロ痩せました。不思議なホテルです。

五日目の朝に、点滴のようなものが外されました。
そして今日から食事です。
そして、また疑問です。
プラスチックのトレーに、プラスチックの器に。
お粥と少量の柔らかいオカズ。
「ここは病院ですよね?」そう聞くと「いいえホテルですよ」
やはりホテルのようです。

六日目ころ。ベッドを囲むカーテンに人影が。
カーテンが開くと、ニコニコ笑った、てんとうむし北本の利用者の姿。
前回、「二度目のブログ」で書いた彼でした。
ここはホテルです。
お見舞いではなく、差し入れをいただきました。
それは、うんこ漢字ドリル、うんこのシール、うんこの団扇です。
それが、いつも明るい彼の捻りのサプライズ。
そう思いましたが、正直申し上げまして…。
どうしたらいいのか…?

シールと団扇は、看護師みたいなホテルのスタッフが、嬉しそうに持って行きました。
あとは漢字ドリルです。

ホテルのスタッフから「明日からフィットネスをしていただきます」
「それはリハビリですか?」
「いいえ、ここはホテルです。明日、10時にフィットネスルームに行ってくさい。呼びに来ますね」
やはり、ここはホテルのようです。

午後にパソコンの試験対策をしていると、カーテンに三人の人影。
カーテンが開いて、そこには三名の、てんとうむし北本の利用者、Uさん、Hさん、Tさん。
数日前に来てくれた、いつもニコニコしている彼も。
そして後ろからは、優しくニコッと笑う長岩代表。
「お土産です」そう言われてバナナをいただきました。
お見舞だと思いましたが、ここはホテルです。
だからお土産です。
楽しく話しが出来て嬉しかったです。

他の訪問者については、ここでは書きませんが、そんなノンビリと楽しいホテル生活は続きました。

アッという間に宿泊最後の日が来ました。
数日間雨が続き、久しぶりの快晴です。
会計を済ませ病室のような部屋に戻ると、「支配人が最後にこれをと」ホテルのスタッフ。
「注射ですか?」と、尋ねると「いいえ、違います」そして、その後の記憶はありません。

母が運転する車の中で目を覚ましました。
久しぶりに見る外の光景でした。
快晴で暖かくて気持ちよかったです。
母に「オレ、どこにいたの?」そう聞くと「何言っているの。ホテルでしょう」
「どこの?」そう聞いても、あきれた顔で黙っていた。

自宅の前に到着した時、母が「買い物を忘れたから、ちょっと行って来るね」
そう言って、母は車で出掛けて行きました。

そして、また不思議なことに、車庫には母の車。
家に入ると母がいて「どこにいたの?ご飯は?」
今のあの人は誰だったのでしょう?

正午過ぎに、てんとうむし北本に行くと、スタッフの皆様から「どうしたのですか?」「どこにいたのですか?」「連絡してください」そんなお叱りを受けました。

私を見て、不機嫌そうな施設長の戸上さんに「パソコンをお届けいただき、ありがとうございます」そのお礼の言葉に「なんですか?どこにいたのですか?連絡くらい出来ませんか?」お叱りを受けました。

代表にお礼をしても「なんですか?どこにいたの?連絡くらい出来ないの?」またお叱りです。
三名の利用者にお礼をしても「えっ、どうしていました?ずっと休んでいましたよね」
知らないようです。

私はどこで何をしていたのでしょうか?

 

物語風にアレンジして書いてみましたが、誤解があるといけませんので、訂正と補足をさせていただきます。
退院の日からの内容につきましては、お分かりでしょうが、後半のほとんどは、私の作り話しです。

戸上施設長には、病院で訓練出来る環境を作っていただき、長岩代表は利用者さんを連れてお見舞いに起こしくださいました。
退院した日に通所すると、てんとうむしの皆様は、もちろん暖かく迎えてくださいました。
代表をはじめ、てんとうむし北本の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。

みなさん、無理は禁物です。
体調に不安を感じたら、すぐに通院してください。
そして嘘は辞めてください。

長文を読んでいただき、ありがとうございます。