リフレーミングの具体例

皆様、こんにちは。
埼玉県北本市の就労移行支援事業所「てんとうむし北本」に通う利用者のTです。

前回、「リフレーミング」について書かせて頂いた者です。

「リフレーミング」は、様々な場面で役に立つ手法です。
今回は具体的な例を幾つかご紹介したいと思っています。

◆自信を持ちたい場合
 自分に自信を持てない部分がある時、リフレーミングを行うことで見方を変えられます。
 例えば、「大雑把」な部分が気になる場合でも、「おおらか」「器が大きい」「決断が早い=スピード感が重要な物事を進めるのに向いている」と捉え直すことで、自分の短所を長所だと思えるようになる可能性もあります。

◆人間関係に悩んでいる場合
 仕事相手の言動が気になる、性格が合わないなどの悩みにもリフレーミングが有効です。
 例えば、「あの人はいつも批判的なことばかり言うから苦手だ」という考え方を、「その人は自分にない視点/考えを提供してくれる人物」と捉え直すことで、苦手意識が緩和され、コミュニケーションも取りやすくなります。

◆問題解決の選択肢を広げたい場合
 問題解決を考える際に、一つの手法だけにこだわってしまうと視野が狭くなり、上手に解決出来なくなります。
 リフレーミングを意識することで「一つのやり方=フレーム」へのこだわりがなくなり、視野が広がる=解決への選択肢を広げられることが期待出来ます。

◆ビジネスシーン
 ビジネスの場面でもリフレーミングは活用されます。
 新たな視点やアイデアを生み出す為の有効な手法とされています。

これらの場面は一例でしかありませんが、リフレーミングを活用することで、自分自身の感情や行動をより良いものに変えることが出来る可能性があります。

以前、リフレーミングには、二種類あると書かせて頂きました。(状況のリフレーミング、内容のリフレーミング)
その種類毎にまとめると、それぞれ次のようになります。

状況のリフレーミングは、自分を取り巻く状況について捉え方を変える手法です。
以下に具体的な例を幾つかご紹介します。

◆新人の社員
 「こいつは新人だからまだ仕事が任せられない」という状況を「まだ仕事を覚えていない」という視点から「これから伸びしろがある」という視点に置き換えてみましょう。
 すると、「新人だから経験を沢山積ませた方が良い」という考え方をすることも出来ます。

◆商談の失敗
 「この商談は失敗だ」という内容も、「このやり方がダメだということが分かった。次回から他のやり方を考えてみよう」という面に視点を変えるだけで、今後の行動方針を変えていくことが出来ます。

◆営業成績が上がらない
 「営業成績が上がらずに悩んでいる」という状況を、「本当は対人の交渉よりも、細やかな事務作業の方が得意なので、総務や経理などのバックオフィス業務の方がパフォーマンスを発揮出来るかも」という視点に置き換えてみましょう。

これらの例から分かるように、同じ状況でも、その状況をどう捉えるかによって、その状況の評価が大きく変わります。

次に、内容のリフレーミングは、ネガティブな事柄をポジティブな事柄に置き換えることで、物事の捉え方を変える手法です。
以下に具体的な例を幾つかご紹介します。

◆「のんき」→「おおらか」「リラックスしている」「楽観的」

◆「ふざけている」→「陽気」「場を明るくしてくれる」「楽しむことが好き」

◆「負けず嫌い」→「向上心が強い」「一生懸命」「目標達成への強い意志」

◆「約束を守らない」→「フレキシブルな性格」「新しい可能性に開かれている」「固定の計画に縛られない」

 ※補足.「フレキシブルな性格」とは、変化に対応する能力や新しいアイデアに思考が開かれているという意味になります。困難な状況や予期しない変化に対応する能力を示しています。

これらの例から分かるように、同じ性質を持つ人でも、その性質をどう捉えるかによって、その人の評価は大きく変わります。

上記を踏まえ、以下のような状況では、どのようにリフレーミングの効果が期待出来るでしょうか?

①同僚に対する印象

「同僚のAさんは仕事に対して熱意がない」

Bさんは、チームメイトのAさんに対して、仕事に熱心ではない人という印象を持っています。
理由は、定時になるとすぐに退社してしまうからです。
会社の飲み会に誘っても3回に1回しか参加しません。
時には有給休暇を使って休んでしまうこともあります。

以上のケースをリフレーミングしてみましょう。

リフレーミングの結果、AさんはBさんに対して別の印象を持つようになりました。

「同僚のAさんは仕事のマネジメントが上手に出来ている」

Aさんは、実は家庭の都合で早く帰る必要がありました。
有給を使うのも家族のケアをするためです。
決められた就業時間の中でAさんは役割を十分にこなし、目標も達成しています。
Aさんの極めて優れたタスク管理能力について、Bさんは自分も見習おうと思いました。

このように、同僚への見方が変わることでチーム内の人間関係も円滑になります。
また、BさんがAさんの上司に当たる立場だったケースでは、Aさんの職場での評価そのものに影響することも考えられます。

②仕事がうまくいかなかった時

「自分はこの仕事に向いていないし、会社も良い環境ではない」

Cさんは、新しいプロジェクトに対して、上司のDさんからフィードバックを受けました。
その中には、「○○が出来ていない」というネガティブな指摘も多く、Cさんのプロジェクトへのモチベーションは著しく低下してしまいました。

現在Cさんは、自分の能力や会社の状況についてネガティブな印象を抱いています。

では、上記の条件で、リフレーミングをすることで、見方を変えてみましょう。

「成長のチャンスをもらえたんだ。Dさんにもっと指導してもらおう」

Dさんからのフィードバックの中には、「○○してみたら?」や「○○についてもっと考えてみよう」という、プロジェクトをより良いものにする為のアドバイスが含まれていました。
また、Cさん自身、初めて取り組む大きなプロジェクトです。
意欲はあっても、能力的に色々と足りない部分を自分自身も改善する必要があると気が付くことが出来ました。(自己を見つめ直す機会と捉える)
最初から何でも出来る人は滅多におらず、今出来ていないからと言って、将来的にも出来ていないとは限りません。(伸びしろと捉える)

あくまで上記のようなケースは一例であり、リフレーミングのもたらす効果に正解も不正解も無いかと思います。

このように、リフレーミングを用いることで、自分に足りない部分があったとしても、それを克服する為の前向きな行動に繋げることが出来ます。
自分自身だけではなく、他者の行動についても、よりポジティブに捉えることが可能です。

これには、自己肯定感を高め、モチベーションを上げる効果もあると言われています。
現代のようにストレスの多い社会において、リフレーミングを身につけることは、物事や人間関係を円滑にする重要なスキルだと言えるかもしれません。

長くなってしまいましたが、リフレーミングのよくある具体例をご紹介しました。

それでは、今回はこの辺で。
皆様どうか良き一日をお過ごしください。