アドラー心理学を参考にした心理学のお話 第19回

こんばんは。
埼玉県北本市で障害をお持ちの方の就労を支援する福祉事業所
「てんとうむし北本」の桜井です。

今日から9月に入りましたね。
それにしても、雨が多い。
自転車に乗るのが好きな僕にとっては、悲しい日々が続いています。
しかし、雨のおかげで、気温が下がり少し過ごしやすくなってきていますね。

さて、「健康的なパーソナリティーになる方法」についてお話します。
今回は「理想と現実をはっきり区別しよう」ということです。
健康的なパーソナリティーを作るうえで、
大切なことの一つが「理想と現実とをいつもはっきりと区別しよう」いうことです。
「理想」というのは「現実」には存在しないから「理想」なのです。
「理想」とは私たちの頭の中にだけ存在するのです。
いくら「理想」の自分を描いても、
「現実」の自分は鏡に映る自分でしかありません。
先ずは、「現実」の自分を受け入れ、
その自分とどう向き合っていくかが大切になってくるのです。

自分自身が「現実」の自分から目をそらし、受け入れないとするとどうなるでしょう?
その場合、自分自身よりも自分の「理想」に近い人間を羨み、妬むでしょう。
酷いときには、憎しみや憤りといった激しい感情にとらわれてしまうこともあるでしょう。
それは「健康的なパーソナリティー」とは言えないと思います。

自分に対してだけならまだしも、他者、例えば自分の家族に対して
「理想」と「現実」の区別ができない場合があります。
親や子どもに対して、「理想」を求め、自分のことは棚上げ。
そして、他者が自分の「理想」と異なることを「悩み」として抱えている。
ちょっと自分勝手すぎますよね。

ここからは講座で講師の精神科医の先生が話していたことを紹介します。
対人恐怖症の子ども(S)と先生(Dr.)のやり取りです。

S : 「人から嫌われるんです。みんなが変な目で見るんです。」
Dr.:「全員が変な目で見ますか?」
S : 「そんなこともない」
Dr.:「学校へ行くと、クラスの何人くらいが変な目で見るの?」
S : 「2,3人がすごい変な目で見てくる」
Dr.:「残りは?」
S : 「残りはそうでもない」
Dr.:「つまり、全部の人から好かれたいというのが君の悩みですか?」
S : 「そうです」
Dr.:「そしたら、君は全ての人を好きになれますか?」
S : 「そりゃ無理です。やっぱり嫌いな人はいます。」
というやり取りがあったそうです。

いかがですか?
違和感を抱いた方もいるのではないでしょうか。
自分が全ての人を好きになれないのに、
全ての人から好かれようというのはちょっと都合が良すぎますよね。

自分自身、理想的な人間ではないのだから、
相手にも自分の理想像を求めないほうが対等だと思います。
人間は不完全な存在だと認めて、不完全な自分も、不完全な相手も、
受け入れて、向き合うことが大切だと思います。