アドラー心理学を参考にした心理学のお話 第10回 - てんとうむし通信 - 埼玉県指定 就労移行支援事業所 てんとうむし北本

こんばんは。
埼玉県北本市で障害をお持ちの方の就職・再就職をサポートする福祉事業所
「てんとうむし北本」の桜井です。

今回でやっと第10回にたどり着きました。
読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。

さて、健康なパーソナリティーの条件の続きをお話しますね。
今回は「世界を信頼していること」についてです。

前回お話したように自分のことが好きであれば何の問題もないか、
というとそういうわけにはいきませんよね。
自分が好きになりすぎて、自己中心的になってしまうと、
単なるエゴイズムになってしまいます。
やはり、他の人との関係が非常に大切になってきます。
他人との関係でどんなことが大切になってくるかというと、
他人を信頼し、自分の生きる世界を信頼することです。

自分が自分自身に不信感を抱いているのと同様に、
他人に不信感を抱いている状態も決して健康だとは言えないと思います。
人を疑った場合、結果的には
「相手が自分のことをよく思っていないのではないか」
といった不安に陥り、自分を苦しめる結果になってしまうと思います。
経験のある方もいるのではないでしょうか?

確かに、疑いたくなるような人も中にはいるでしょう。
しかし、皆人間ですから、何らかの欠点があり、
誰かに疑われてしまうような存在なんです。
ですから、様々に問題がある人間同士、
協力して力を合わせて生きていくしか人間が生きていく道はないのです。

今の日本は、競争社会です。
「競争がないところには成長がない」
なんて言葉をを聞いたことがあると思います。
では、本当にそうでしょうか?
僕としては競争が、人間の精神的な成長を妨げる一因となっていると思います。

では、例として「勝者」と「敗者」について考えてみましょう。
「勝者」は一旦勝利することで、自信をつけ自分を好きになるかもしれません。
しかし、また競争となった時にどうなるでしょうか。
負けられないという意識から、
自分を追い込み結果的には苦しめてしまうと思います。
一方、「敗者」においては、敗れたことで自信を失うでしょう。
そうなれば、次の競争でも本領を発揮できず
再度敗れるといった悪循環に陥ってしまうと思います。
最終的には、どちらも健康的な生活は送れなくなってしまうのです。

ですから「競争」という人間関係から離れ、
「協力」という人間関係を作っていくことが大切なのです。
※ここでいう「協力」とは、信頼に基づいて、
 不必要な競争をしないこととさせていただきます。

日本人は
「自分はあの人より劣っている」とか
「あの人はできる人で、自分より優れている」とか
他人と自分を比較しがちです。
これはすでに競争の原理に基づいた考え方になっていると思います。

このような考え方は他人に対する不信感や
自分に対する自信の無さの表れだと思います。
自分のことが好きであり、他人のことを信頼している人は、
自分と他人を不必要に比較しないと思います。
競争が他人に対する不信感を生み、
他人に対する不信感が自分の生きる世界への不信感へとつながってしまうのです。

試しに、2つの世界を想像してみてください。

1つは、自分の周囲が皆信頼できない人間で、
いつも競争でひしめき合っている、食うか食われるかの世界。

もう1つは、信頼する人間によって作られていて、
皆、協力しながら一つの理想を実現していこうとしている世界。

人間とは不思議なもので、自分の思い描いていることが、
そのまま現実になってしまうことが多々あります。
皆さんならどちらの世界を思い描きますか?

次回はもう少し「信頼」や「所属感」についてお話したいと思います。