NHKドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」を視聴して

みなさん、こんにちは。
埼玉県北本市の「障がい者福祉施設」
就職・再就職をサポートする
「就労移行支援事業所」
「てんとうむし北本」スタッフの渡辺です。

8月15日を迎え、先の太平洋戦争終結から
今年で80年が経過しました。
原爆の被害地となった広島市や長崎市をはじめ、
日本各地で戦没者の追悼式典が催されました。
各メディアでも特集が組まれましたが、
NHKでは8月16日(土)・17日(日)の2夜連続で、
ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」
が放映されました。

NHKドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」より

元東京都知事の猪瀬直樹氏が書いた小説である
「昭和16年夏の敗戦」を原案に作成されたドラマで、
かなり見ごたえのある内容でした。

日米開戦を想定し、真珠湾攻撃の8か月前の1941年4月、
首相直属の「総力戦研究所」に各省庁、陸海軍、民間企業
から優秀な若手エリートたちが招集され、出身官庁や企業
から機密情報を集めて軍事、外交、経済など各分野のデータ
を分析し、日本がアメリカと戦った場合のあらゆる可能性
をシミュレーションするという内容でした。
視聴後に調べたところ、勅命によって内閣総理大臣直属の
機関として設立された実在した組織であることを初めて
知りました。
招集されたメンバーは、官僚27名(文官22名・武官5名)
と民間人8名の総勢35名。全員が31歳から35歳という年齢で、
日本の将来を嘱望されたエリート中のエリートだったようです。

NHKドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」より

数か月後、当時の圧倒的な日米の国力差から導き出された
最終結論は、「もしアメリカと戦えば、日本は必ず負ける」
という厳しい未来予測でした。
場面は変わり、主人公の宇治田洋一が日米開戦は回避
すべしとの強い思いを抱きながら、軍や政府の要人の
前でシミュレーションの詳細を公表し、必敗が確実で
ある日米開戦は絶対に避けるべきであると訴えましたが、
陸軍大臣の東條英機に、
「机の上の勉強と実際の戦は違う。日露戦争では
ロシアとの国力を撥ね退け、わが大日本帝国は勝ったのだ。
戦は精神力がものを言う。やってみなければ分からん。」
という精神論で一蹴されてしまいました。
その後、短期決戦であれば日本にも勝機はあるという
楽観論をマスメディアが扇動し、国民の間にも開戦
やむなしとの機運が高まっていった結果、1941年12月
の真珠湾攻撃をきっかけに、太平洋戦争の泥沼に深く
足を踏み入れていくことになりました。
1945年8月、シミュレーションによって導き出された
結果どおり、日本は敗戦を迎えました。
原爆の投下による広島市で約14万人、長崎市で約7万人
の犠牲者を含む、軍人軍属と民間人合わせて約310
万人が犠牲となりました。
ドラマの最後の場面、シミュレーションの予測どおり、
廃墟と化した街の風景を主人公の宇治田洋一が茫然と
見つめる姿がとても印象に残りましたね。
理性では理解できたとしても、時代の空気には抗うこと
ができずに流されてしまう怖さを改めて感じたドラマ
でした。

本日もご覧いただきありがとうございました!