学習障害(LD)とは?
学習障害(Learning Disability)とは、知的な問題が認められないにもかかわらず、読み書き、計算などの特定の学習活動に困難を抱える障害です。
学習障害(限局性学習症)は、以下のような多様な形態が含まれます。
①読字障害(ディスレクシア)
読む能力に困難があります。その結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。
読字障害の人の中には「見た文字を音にするのが苦手」という症状があります。
その原因は、情報を伝達し処理する脳の機能がスムーズに働いていないことだと考えられています。
文字の見え方にも特徴があり、文字がぼやける、黒いかたまりになっている、逆さまに見える、図形に見えるなど違った見え方になってしまい、認知の仕方が異なります。
また、音韻認識が弱く、ひらがなやカタカナのひとつずつは理解していても、漢字(単語)になると理解できなくなってしまうこともあります。
漢字の音読みと訓読みの使い分けができなかったり、単語や文節の途中で区切った読み方をするなど、変わった読み方をしてしまいます。
・形態の似た字である「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」などを理解できない
・小さい文字「っ」「ゃ」「ょ」を認識できない
・文章を読んでいると、どこを読んでいるのかわからなくなる
・飛ばし読み、適当読みをするなど文章をスムーズに読めず、読み方に特徴がある
・音声にするなど耳から情報は理解しやすい場合が多い
など
②書字障害(ディスグラフィア)
「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難がある学習障害です。
文字が読めるのにもかかわらず書けない場合も書字障害に分類されます。
書字障害の人は、自分では文字を正確に書いているつもりなのに鏡文字になってしまうなど、文字を書くという動作が苦手です。
原因としては、脳内で身体に指示を出し手を動かすという伝達機能がうまくいっていないからだという説が有力です。
そのため、文字が書けなかったり、文字を書く速度が遅くなってしまうのです。
・鏡文字や雰囲気で「勝手文字」を書く
・誤字脱字や書き順の間違いが多い
・黒板やプリントの字が書き写せない、時間がかかる
・漢字が苦手で、覚えられない
・文字の形や大きさがバラバラになったり、マス目からはみ出したりする
など
③算数障害(ディスカリキュリア)
数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害です。
数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。
「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっています。
算数障害の人は数字そのものの概念、規則性、推論が必要な図形の領域を認識するのが難しいです。
また、視覚認知の機能が弱く、数字を揃えて書く、バランスを考える、文字間の距離感を取るなどが苦手です。
そのため、筆算を書く際に桁がずれることも多くなります。
・簡単な数字、記号を理解しにくい
・繰り上げ、繰り下げができない
・数の大きい、小さいがよく分からない
・文章問題が苦手、理解できない
・図形やグラフが苦手、理解できない
など
学習障害の原因は主に神経の発達に関係していると考えられており、遺伝的要因や環境的要因が影響しています。
早期の的確な診断・検査が必要で、一人ひとりの認知の特性に応じた適切な対応法が求められます。
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などを伴う場合には、それらを考慮した配慮、学習支援も必要となり、家庭・学校・医療・福祉関係者等の連携が必要です。
学習障害の考え方
学習障害(限局性学習症、LD)には、様々な考え方があります。
①Learning Disabilities(能力障害):教育的な立場
全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれか、または複数のものの習得・使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものと言われています。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
②Learning Disorders(機能障害):医学的な立場
「読み書きの特異的な障害」「計算能力など算数技能の獲得における特異的な発達障害」を指すことが多いです。
③Learning Differences(学び方の違い):異なった学習アプローチをとる観点
言語性LD・非言語性LDという言い方もありましたが、現在はあまり用いられていません。
学業不振がもたらされ、上記技能を必要とする日常生活が損なわれると診断されます。
この記事が、LDについての理解を深める一助となれば幸いです。
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