失業手当とは?

 我々、労働者の生活や雇用の安定を目的とした雇用保険の中に、離職して失業状態にある人が安定した生活を送りながら一日でも早く再就職できるように支援することを目的の一つとして存在しているのが、「失業手当」です。

 あくまで「保険」であるため、支援を受けるには条件がありますが、加入状況に応じてお金を受け取ることが出来ます。
 受け取れるお金は、正式には「基本手当」といいますが、一般的には、失業手当・失業保険・失業給付金などの名称で呼ばれています。今回の投稿では、「失業手当」で統一したいと思います。

受給条件

 前述の通り、いくつかの条件があり、それを満たすことで受給資格が得られます。

  1. 失業状態である
  2. 退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12カ月以上ある
  3. ハローワークに求職の申し込みをしている

受給までの流れ

 基本的な流れは以下のとおりです。

  1. ハローワークで求職の申し込み(離職票と受付票の提出)を行う
  2. 7日間(土曜日・日曜日・祝日含む)の待期期間
  3. 雇用保険説明会に出席
  4. 待期期間満了の翌日から2カ月間は給付制限があるため給付なし
  5. 毎月(4週間に一度)の失業認定日に出向き、その後約1週間で給付

 失業手当の特徴として一番大きいのは、その支給開始時期だと思います。

退職理由はどう影響する?

 前職の退職理由により、待機期間(受給開始時期)が異なるのも、また大きな特徴かと思います。

  • 会社都合による退職:7日間の待期期間満了後から給付対象となります
  • 自己都合による退職:上記待期期間+2カ月間の給付制限期間を経て給付対象となります

 ここで言う会社都合とは、懲戒解雇を除きます。懲戒解雇は、自己都合と同じ扱いになります。また、正当な理由のある自己都合退職も、会社都合に含まれる場合があります。「正当な理由」の内容が気になる方は、ハローワークで相談してみてください。

 つまり、自己都合での退職の場合、約2カ月間は失業手当を受け取ることが出来ません。

 お勤めだった会社を辞める際の理由(退職理由)が、「自己都合」だったか「会社都合」だったかで失業手当の条件が変わります。
 自己都合の場合、待期期間とされる7日間のあと2カ月間待たないと失業給付金が受け取れません。しかし、会社都合での退職ならば、待期期間後の認定日より最短7日で給付開始になり、1カ月後には最初の失業手当が受け取れます。
 さらに給付日数も、自己都合の場合90〜150日なのに対し、会社都合の場合は90〜330日と長くなる可能性があります。
(障害者などの就職困難者の場合は、退職理由による給付日数の違いはありません)

受給期間

 次のお仕事が決まるまでの間、定められた受給期間の間に「所定給付日数」を限度として失業手当の支給を受けられます(その間は「失業認定」を4週間に一度受ける必要があります)。所定給付日数は、「離職理由」「離職時の年齢」「被保険者であった期間」「障害の有無」などによって決定されます。

受給するメリット・デメリット

 次のお仕事、つまり転職先が決まるまでの期間、一定額の生活費が得られるのは大きなメリットだと思います。
 会社都合で急に退職しなくてはいけなくなった場合など、再就職を急ぐ方も少なくないと思います。生活していくためだけではなく、転職活動にも費用はかかりますし、手当が支給されるのと支給されないのとでは、心強さが全く違うと思います。

 雇用保険の加入期間が長ければ長いほど給付される日数(所定給付日数)が長くなるのですが、一度支給を受けると、雇用保険の加入期間がリセットされて、転職して再加入してもゼロからの数え直しになってしまうというのがデメリットだと思います。退職日以前の2年間に加入期間が通算12カ月以上ないと手当はもらえないという条件のため、転職してまたすぐに退職した場合、今度は失業手当がもらえないということになります。

 また、自己都合退職をして2カ月間の給付制限がかかっている間に転職先が決まる場合、失業手当の手続きを行ったにも関わらず、待機中で受給していない状態でそのまま終わることとなります。手続きに要した時間や労力が無駄になってしまうというデメリットもあります。
 とはいえ、離職期間が長引き職歴に空白期間ができるのをネガティブにとらえる企業もあります。
 それぞれに事情が異なるため、焦って無理をする必要はないと思いますし、離職期間が長引くことで実際に不利になるケースもあるため、失業手当をアテにせず、早めに再就職するという選択肢も十分考慮に値すると思われます。

 ちなみに、ですが、失業手当の受給中であってもアルバイトやパートとして働くことは可能です。

 なんとなく「働く=再就職」というようなイメージを持たれる方も多いかとは思いますが、以下のような条件、制限内でならば、働くこと自体は問題ないのです。
 ただし、待期期間として定められた最初の7日間に働いたり、雇用保険の対象(1週間の所定労働時間が20時間以上もしくは31日以上の雇用が見込まれる場合)になるほど沢山働いたり、失業手当の給付額の80%を超える金額を1日で稼いでしまうと失業手当の給付が受けられなくなってしまいます。また、1日4時間以上働くと支給の開始が先送りされます。雇用保険の受給期間は原則として失業した翌日から1年間で、受給期間の1年間を超えると支給されなくなるので注意が必要かもしれません。

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