ちょうちんアンコウの衝撃

利用者のHOです。
皆さん、ちょうちんアンコウをご存じでしょうか?

あの頭の辺り付いている触手を使って、魚を誘き寄せ、大きな口で近づいてきた魚を丸のみにしてしまうやつです。
彼等の生態で特筆すべき点は、先ず、オスとメスの大きさが極端に違うということです。メスは50cm オスは5cm 程度だそうです。で、驚くべきは、その繁殖方法です。小さなオスは、大きなメスの体の一部にかじり付きます。どちらが出すのかは分かりませんが酵素が出てきてお互いに癒着していき、最終的にオスは完全に取り込まれ、精巣しか残らないそうです。つまり、彼らのアイデンティティーとして残るのは精巣だけだそうです。これがアイデンティティーと呼べるものならばですが…、しかも、1匹のメスに数匹のオスが取り込まれている場合もあるそうです。

しかし、小学四年生の私が、この魚を学研の魚介類図鑑で知った時の衝撃は今でも忘れられません。当時から釣り好きであった私は、魚を図鑑で見る事も好きでした。何気なく頁をめくった先に想像通りのちょうちんアンコウがいました。しかし、尾びれの前に何かがぶら下がっていました。

説明文によると、それはオスであり、オスはメスに寄生している様なことが書いてありました。改めて見直してみると、 想像通りのちょうちんアンコウの方には、♀マークがついていて、ぶら下がっているヤツらには♂マークがついていました。先ず、考えたのは、この図鑑は間違っていると思いました。
当時は、男は強くあらねばならぬというのが世の風潮でした。初な私はその風潮に捕らわれており、メスに頼る様なオスの存在が許せなかったのです。しかも寄生しているなんて…。
しかし、そんな私のささやかな思い込みは大自然の多様性の前に、あっさり崩れ去りました。この衝撃を分かちあえるかと思い、当時の同級生で友人のイクちゃんやハタボウに話したり、自分の両親に聞いたりしましたがいずれも無反応でした。
皆はどうということもないんだと思いました。

以来、チョウチンアンコウのオスという存在が私の心の何処かに引っ掛かり、時々思い出しては、アリやハチ等のオスと共にオスの役割(オスの存在意義)についていろいろと考えてきました。
しかし、今では(あくまで私、個人の考えです)、オスの儚さと、メスの生命力の強さを示す大自然の事象の一つとして思える様になりました。